最高裁判所第一小法廷 昭和24(オ)31 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人弁護士椎名与作の上告理由について。
原判決の認定した事実によれば、「上告人は昭和二〇年一一月中旬頃訴外Dから
本件係争家屋とその敷地を代金一万六千円で買受けることとなり、同日内金三千円
を支払い残金一万三千円を同月末日限り支払うことを約したのであるが、同年一二
月六日さきに上告人からDに交付してあつた洋服地を金一千円と見積つて前示売買
代金の一部に充当し、その残額一万二千円の支払は昭和二一年五月末日迄猶予すべ
く、もし右期日にその支払がないときはDは改めて催告するまでもなく直ちに右売
買契約を解除することができる旨の約定が成立した。そして同日上告人は右代金支
払の猶予を受けた謝礼として金一千円の内払をしたので残代金は一万一千円となつ
たが、遂にその支払期日をも徒過したため、Dは昭和二一年七月五日上告人に対し
契約解除の意思表示をなし、該意思表示は翌六日上告人方に到達し茲に上告人とD
との間の本件家屋の売買契約は解除せられるに至つた。なお上告人は前示昭和二〇
年一二月六日残代金の支払猶予を受けた当時、既にDに無断で本件家屋に入り込み
これを使用していたのでEから詰問され、上告人は右残代金を期日迄に支払わず売
買契約が解除されることとなれば、解除の日迄の相当家賃額に当る金員を支払い直
ちに家屋を立退くことを誓約した」というのである。されば原審が右認定に反する
事実を前提とする所論上告人の主張を排斥したものであることは自ら明白である。
そして右原審の事実認定はその挙示する証拠の内容に照らしこれを肯認するに難く
ないのであり、しかも証拠調の限度は事実審の裁量に委ねられているのであるから、
所論上告人の証拠申請を却下して前示の事実認定をなしたからとて原判決に所論の
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違法があるとはいい得ない。論旨は理由なきものである。
よつて民訴四〇一条、九五条、八九条に従い裁判官全員一致で主文のとおり判決
する。
最高裁判所第一小法廷
裁判長裁判官 岩 松 三 郎
裁判官 真 野 毅
裁判官 斎 藤 悠 輔
裁判官 入 江 俊 郎
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